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令和3年8月の大雨における洪水予測検証



このたびの災害により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。


本記事では、広島県「飯室」(太田川水系太田川)でRiverCastによる予測検証を行った結果を紹介いたします。

広島県「飯室」(太田川水系太田川)の場所

「国土交通省 水門水質データベース」より



1. 大雨による災害の概要
2. 水位変動の概要
3. 予測結果概要
4. 予測結果詳細
5. 終わりに


1. 大雨による災害の概要

令和3年8月11日より続いた大雨は、全国各地に記録的な大雨をもたらし、河川の氾濫、土砂崩れなどが広範で発生しました。

アメダス観測値によると、嬉野観測点で72時間降水量 929.5mm (14日12:30まで) など、平成30年7月豪雨(東日本豪雨)を超える雨を観測した地点もありました。


河川においても氾濫や侵食による被害が数多く発生しており、国土交通省のまとめによると29水系89河川で被害が確認されています(8/24現在)。



2. 水位変動の概要

本検証では、飯室地点における 2006年1月1日-2021年3月31日の水位データを学習データとして予測モデルを構築しました。学習期間における最大水位は6.50mです。

学習期間における水位変動


今回検証の対応とする期間は2021年8月13日からの2日間で、当該期間における最大水位は6.11mを観測しました。この観測水位は2006年以降2番目の高水位となります。

検証期間における水位変動

検証期間における時間雨量および累加雨量



3. 予測結果概要

予測結果の概要について図を交えて解説します。予測結果図は点と線が重なるほどよい結果であることを示しています。

予測結果図の見方


1. 予報雨量の完全予測仮定時における水位予測結果

予報雨量を観測雨量で置き換えた場合の予測結果です。避難判断水位6.0m(黄線)を超えることを精度良く予測できていて、高精度な水位予測モデルであることを示しています。

予報雨量を観測雨量で置き換えた場合の予測結果図


2. 実際の予報雨量にもとづく水位予測結果

当時の予報雨量データを入力した予測結果です。雨が降っていた時に、実際に予測された結果に相当します。予報雨量の誤差の影響を受けて、15時間先予測は観測値と乖離しています。一方で、予報雨量誤差を受けても3~6時間先予測は高精度な結果を示しました。

15時間先までの予測結果

6時間先までの予測結果



3. 予測水位、予報雨量の誤差

双方が同様の傾向を示す場合、予報雨量の誤差が予測結果に大きな影響を与えていることを示唆します。

予測水位誤差

予報雨量誤差



予測結果詳細

代表的な時刻の予測情報(雨量、水位、超過確率)を集約して次に示します。図における超過確率は避難判断水位6.0mを対象とし、15h以内に1度でも超過する確率を示します。


※赤線の予測は予報雨量誤差分布の理論的な中央値を与えた場合の水位予測結果、信頼区間や超過確率は数値計算に基づく近似値なので、両者が整合しない場合もある点にご留意ください。


8月13日 10:30

第一波のピークが過ぎた後、再度水位が上昇することを予測しています。

8月13日 21:00

12時間後に避難判断水位6.0mを79%の確率で超過することを予測しています。

8月14日 6:00

氾濫危険水位7.10mに到達間近な予測を示しますが、実際には予報雨量に対して降雨量が少なく過大な予測となっています。

8月15日 0:00

降雨が収まり、水位は通常時に戻る傾向を示しています。


終わりに

本記事では飯室地点での2021年08月13日から8月15日における河川水位予測結果をご報告しました。

RiverCastのメリットとして、蓄積データの反映によって年々精度が向上する点が挙げられます。保守サービスの一環として年に一度、モデル構築後に蓄積されたデータを技術者が適切に取捨選択・モデルに反映するため、ご利用期間が長くなるほど予測精度が向上します。


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